どうも皆さん。kmです。
今回は大麻の作用について解説をしていきたい思います。
動画版はこちら↓
大麻の作用機序
大麻の作用機序は解明されているわけではありませんが、
わかっている範囲で解説します。
「カンナビノイド(CB)受容体に作用し、活性化される」
となります。他にもかなり広い作用対象があるようですが、
今回はこちらに絞って解説することとします。
CB受容体とは?
CB受容体はCB-1、CB-2の二種類のサブタイプが存在しており、
それぞれ分布している組織が異なります。
作用的にはそれぞれ神経伝達物質である
内因性カンナビノイドの受容体として機能しています。
受容体が刺激されることで他の神経伝達を抑制する働き
を持っているということが明らかになっています。
CB-1受容体
CB-1受容体は中枢・末梢神経など広く存在していて、
脳内に存在する受容体の中で最も多い受容体です。
脳内では特に基底核,海馬,大脳皮質,小脳に多いとされています。
作用としては抑制の作用を持っていますが、
その作用は組織によって異なるようです。
例えば海馬では一部の抑制性ニューロンに強く発現が見られる一方、
海馬の一部の興奮性のニューロンでも強く発現が見られるといったように、
組織特異的な発現が見られます。
これらの働きで神経伝達を細かく調整しているのではないかと考えられています。
末梢での作用としては交感神経系のアドレナリンの
放出量の調節にも関与しているようです。
CB-2受容体
CB-2受容体はCB-1受容体に比べると脳内にはほとんどありません。
CB-2受容体は白血球や脾臓などに存在しており、
免疫機能に関係していると言われています。
また、末梢において炎症の発生にも関わっている可能性が示唆されています。
CB受容体の作用についてはまだ謎も多く、
様々なことが考察されているといった状態です。
これらの受容体のほかに、大麻に含まれる様々な活性成分が数多くの対象に作用するために大麻を使用することによって発現する症状は非常に多岐にわたります。
健常人が大麻を服用すると
1946年に新潟医科大学で行われた人体実験で、
健常人がTHCを75㎎摂取した報告が存在していたので、それを引用します。
75mgを経口摂取したときの症状の発現は25~90分後で,持続時間は4~5時間である。最初に頭痛,頭重感動悸,心悸充進,胸部苦悶めまい,手足のしびれなどの身体症状が現われる.口渇感は非常に強いが,「水を飲むが苦くて美味くない」,「梨を食べたがぜんぜん味がない」など,通常の口渇感とは性質が違う.
薬物乱用・中毒百科一覚醒剤から咳止めまで 内藤裕史著 p.174
他にも、冷感や臓器の異常感覚、時間・位置間隔の異常、浮遊感、
孤独感、幻覚など非常に幅広い症状が現れたと記されているようです。
THCの脂溶性と離脱症状
THCの脂溶性は非常に高く、オクタノール・水分配係数は6000です。
水より油に6000倍溶けるということです。
THCの生理作用はこの脂溶性の高さがかなり強く影響します。
脂溶性が高い物質は、血流の多い脳に急速に取り込まれて作用を現われますが、
血流量が多いのですぐに流出し濃度は急速に低下して作用は消退します。
しかし、脂溶性が高いためTHCは脂肪組織に再分配されてしまいます。
脂肪組織は血流量が少ないため、THCはそこに蓄積し、
徐々に体に放出されることになります。
よって大麻は、作用の持続時間は比較的長い物質です。
作用時間の短い物質の場合、突然の服用中止によって耳鳴りや不眠、
不安症状などの離脱症状が発現しやすいですが、
作用時間の長い物質ほど効果が徐々に切れていくので
離脱症状は現れにくいということが知られています。
そのため、大麻も中止後ヘロインなどにみられるような
著しい離脱症状は現れにくい傾向にあります。
ヘロインのように激しい離脱症状が現われるものは、
その症状の重さから逃れるため、もしくはそれを恐れた結果、
再度ヘロインを服用し、依存状態から脱却できないといったことが起こります。
つまり、ヘロインのように激しい離脱症状が発現する物質は依存性が高く、
乱用物質としては特に危険性が高くなります。
大麻は安全か?
大麻は離脱症状も出にくいため安全である、
と思われるかもしれませんが、そうではありません。
大麻の使用に関連する大麻精神病と呼ばれる症例の報告があり、
疫学調査でも大麻の使用が優位に精神病を発症するリスクを高める
という報告があります。
ほとんど長期の連用や大量摂取によって発症する傾向にはありますが、
一度の使用によって大麻精神病を発症したという症例報告も存在しています。
また、統合失調症の発症リスクが増加するという報告も存在しています。
これらの疫学調査の結果、大麻の使用が精神疾患を発症する
リスクを増大させると考えられるため、
その使用は推奨されるものではないと考えられます。
日本での大麻合法化
娯楽目的で大麻の使用が認められている先進国は確かに存在していますが、
そのような国では麻薬が大きな問題になっておりとは大きく状況が異なります。
国によっては麻薬等薬物乱用の経験率が全体の4割を超える国も存在しており、
そのような状態なので大麻を利用して「反社会勢力への資金流入を減らす目的」や
「税金の徴収などの理由から合法化している」という背景があります。
一方、日本での経験率は2~3%程度です。
そのため、他国で合法だからと言って、
日本で大麻を合法化する理由にはならないと思われます。
現状大麻の有用性は証明されておらず、有害性を示す報告が数多くある
という現状ですので、私は有効性が正しく証明されるまでは
大麻は合法にはならないのではないかと考えております。
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