硫化水素解説 硫化水素とは?

解説

皆さんこんにちは、kmです。
今回は毒物解説動画の第33回の記事版です。
動画にはない内容もいろいろ追加してやっていこうと思います。
記事の動画版はこちら↓

それでは今回は「硫化水素」について解説します。
硫化水素といえば「毒ガス」「臭い」「温泉地」など
そういったイメージを持つ方が多いかと思います。
学校の理科で実験的に作ったことある方もいらっしゃるんじゃないでしょうか。

硫化水素とは

それでは硫化水素の物理化学的な性質から見ていきましょう。
硫化水素の構造はH2Sで、分子量は34.08です。
そのため、空気より重いです。また、多少の水溶性があり、可燃性の気体です。
他にも腐卵臭と呼ばれる特徴的な臭いがあり、実は甘みがあるようです。
私は甘味は全く感じたことはないのですが、もし知ってらっしゃる方は教えてください。

硫化水素への注意
硫化水素が空気より重いため、
窪地や谷間では硫化水素がとてつもない濃度で
蓄積している可能性があるので、近寄らないようにしてください。
環境庁自然保護局の資料も置いておきますので、よかったら見てみてください
https://www.env.go.jp/park/aso/guide/data/130927aa.pdf
また、硫化水素濃度が高い場合時間が経つと嗅覚疲労と呼ばれる現象が起こり、
硫化水素特有のあの臭気を次第に感じなくなります。
100ppmでは10分程度で嗅覚疲労が起こるようですが、
それより濃ければより短時間で起こるとされています。

そして、腐卵臭は1ppm未満の低濃度であっても感知することが出来ます。
硫化水素濃度と症状の関係についてまとめた図を置いておきます。

https://www.tokubetu.or.jp/text_sanketsu/text_sanketsu2-2.html

この図を見る限り、「臭いがする濃度と症状が発現する濃度はかなり異なる
ということが分かります。
火山周辺や温泉地では日常的に数ppm程度は検出されますが、
この図からその程度の濃度では特に問題はないということが分かりますね。

硫化水素の毒性

硫化水素のLD50を見ていきましょう。

といいたいところなんですが、
硫化水素が常温常圧で気体なのでLD50がありません。残念。

それでは作用機序の紹介をします。
硫化水素の作用機序は、
「ミトコンドリア内のシトクロムcオキシダーゼと結合することで細胞呼吸を障害する」
これだけでは「なんのこっちゃ?」という方がほとんどかと思います。

ここからがっつり解説をするには少々長くなりすぎるため、
今回は一旦ものすごく簡単に解説します。
簡単に言えば、細胞の通常のエネルギー産生を阻害し、
無理やり臨時の方法に変更させる
のです。
それによって生命活動が障害されてしまうという感じです。

詳しくは別記事で改めて解説しますのでよければそちらをご覧ください。
それではここまで読んでいただきありがとうございました!

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