酸とタンパク質の変性

タンパク質とは?

タンパク質とは、多数のアミノ酸が連結して出来た高分子化合物のことで、20種類のアミノ酸がDNAの遺伝情報に従って鎖状に結合することで構成されています。そんなタンパク質は、どのような順番でアミノ酸が結合するか、どれだけの数結合するかで性質が決まっています。

タンパク質は、体内に約10万種類あると言われていて、皮膚や筋肉、組織を形作っているだけではなく、すべての生命活動に関わる非常に重要な物質です。

体を構成するアミノ酸は、基本的にひとつの炭素原子にカルボキシ基とアミノ基と水素原子が結合している「αアミノ酸」です。炭素の残り一つの腕に結合しているものは「側鎖」と言い、この側鎖がアミノ酸ごとに違う構造を持っているため、それぞれのアミノ酸は異なる性質を持っています。

タンパク質はアミノ酸が鎖状に連なって出来ていますが、その鎖がそのまま機能しているわけではありません。実際には、鎖が適切に折りたたまれることでタンパク質としての正しい構造を取り、それが特別な機能を発揮しています。つまり、タンパク質の構造は機能を発揮するために非常に重要なのです。その重要な折りたたみは適切に行われなければならないわけですが、この時にそれぞれのアミノ酸が持つ性質が相互作用し、適切な形状を取ることが出来るわけです。

そして、タンパク質が正常に機能するためには「正しい構造」が非常に重要です。しかし、このタンパク質の構造は非常にデリケートなものです。したがって、タンパク質を構成するアミノ酸の構造に変化があると、タンパク質の構造はもろにその影響を受けてしまいます。

こちらはアラニンというアミノ酸が、周囲のpHによってどのように構造を変化するのかを示したものです。酸性に傾くと左側へ、塩基性に傾くと右側の構造が増加することになります。うっすら構造が変わるだけに見えますが、この変化がタンパク質の構造に大きな影響を与えます。

タンパク質の立体構造は、アミノ酸の持つ電荷や疎水性などといったいろんな因子が複雑に絡み合って保たれています。したがって、周囲のpHに変化が発生しアミノ酸の電荷に変化が起こると、構造の安定性が低下したり、最悪それが維持できなくなってしまいます。このことをタンパク質の変性と言います。

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