本庄保険金殺人事件

解説

本庄保険金殺人事件の概要

1995年から1999年にかけて埼玉県本庄で発生した保険金殺人事件です。

埼玉県で金融業を営む主犯Yが自身の経営するスナックのホステスと常連客を偽装結婚させ、夫を薬物で殺害し保険金を入手する、というものでした。

3つの事件が発生しており、第一の事件には「トリカブト」、第二・第三の事件には「アセトアミノフェン・アルコール」が用いられました。

第一の事件

たまたま店に遊びに来た隣り町に住む男性をホステスであるMが甘い言葉で虜にし、何度も来店するうちに借金が大きくなっていきました。

ある時、男性はYから、「住居も仕事もあっせんしてあげるから本庄市に来ないか?店にも遊びに来やすくなるし」と提案を受けました。男性はそれを好ましく思ったようでそれを快諾しました。それから男性は毎日のように店に入りびたるようになり、借金漬けになっていきました。

しばらくすると、Yはターゲット男性に「フィリピン人ダンサーに長期ビザを取らせたいので偽装結婚をしてほしい」と持ち掛けてきました。男性は最初は不審に思ったようですが、男性はYに恩を感じていたため、悩んだ結果、最終的に提案を受けました。Yからは「形式的な結婚なので、落ち着いたらMと再度結婚すればよい」という風に話をされていたようです。

しかし、この時点で既にMはYの愛人となっていました。MもYが何人も愛人を抱えていたことは知っていたようですが、その中で一番になりたい、との思いからYに協力的であったようです。そして、フィリピン人ダンサーもYの愛人です。

Yはフィリピン人ダンサーと偽装結婚をしたターゲット男性を「Mとの将来のために」と男性を次々に保険へ加入させました。Yはこの保険金を目的に男性を殺害する策を講じます。それは、「男性を不眠不休で働かせ、夜は大量に飲酒かつ朝まで休ませず、そのまま仕事へ行かせる」というものでした。これを繰り返すことでターゲット男性を過労死させようとしたのです。

しかし、しばらく継続してもターゲット男性は衰弱した様子が見られなかったため、タバコを煮だした後、コーヒーとガムシロップを加えた液体を作り、それを割り材に焼酎などを割って飲ませる「成人病作戦」を実行しました。

それでも、男性は半年たっても過労死どころか衰弱した様子も見られませんでした。しびれを切らしたYはトリカブトを採取し、それを少量ずつ盛ることで衰弱させる作戦へ変更しました。

男性はトリカブトを摂取し続けることで衰弱してきましたが、ただ毒殺しただけでは保険金は入手できません。そのため、ターゲット男性を自殺に見せかけて殺害する必要がありました。そのため、Yが取った作戦は「ターゲット男性に遠くでMと暮らすように勧める」というものでした。

その理由付けとして、職場で仕事が嫌になったそぶりを見せつけるように指示を出しました。「それで退職することを匂わせる」ということなのでしょうが、これを利用して何か理由があって自殺を選んでしまったのように見せかけるつもりだったようです。

YとMは十分弱っていることを確認した後、男性を川へ流し、溺死させたとされています。その後、フィリピン人ダンサーが警察に行き捜索願を提出し、数日後男性の遺体が発見されました。

死因がトリカブトであることはバレず、溺死と判断されたため、自殺であると認定されました。

全てYの作戦通り自体が運び、Yは3億円の保険金を入手しました。この金を元手にYは金融業をはじめ、会社を立ち上げています。Mはその会社の事務員として勤務することになりました。

第二・第三の事件

バブル崩壊の影響でYの会社も傾き始めたため、Yは再び保険金殺人のターゲットを探し始めました。

第一の事件と同様に借金漬けにし、偽装結婚させた後に殺害する流れで行われました。
ただし、トリカブトは発覚するリスクが高いため、風邪薬を使用することとしたようです。アルコールも併用することで薬物中毒で殺害する算段だったようです。

被害者は59歳の男性と38歳の男性で、59歳の男性は衰弱し死亡してしまいましたが、38歳の男性は途中で身の危険を感じ、病院へ助けを求めました。それから警察に通報されて事件が発覚しました。

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