放射線解説2

解説

今回は放射線解説の2本目です。前回記事はこちら↓

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自然界に存在する放射線

放射線は自然界にも存在しています。そのため、何もせずとも自然に被曝しています。日本での平均は2.4mSv程度と言われていますが、世界には10mSv程度観測されている地点もあり、場所によって被ばく線量はまちまちです。

ちなみに、ラドン温泉での被曝線量は1年間でも2.8mSvと言われています。

確定的影響と確率的影響

https://www.mhlw.go.jp/content/10901000/000741670.pdfより引用
確定的影響とは?
「閾値が存在し、これを超えない限り影響はほぼ生じない」という性質のもので、しきい線量を超えるとその障害の発生率は急激に上昇します。
確率的影響とは?
被ばくした人に必ず現れるわけではなく、そのうちの一部の人に確率で発生する性質のものです。放射線を受けた量によって確率は上昇することが示されています。

150mSv以上の被ばくでは被ばく線量とがんの発生には明確な直線性があることが分かっています。しかし、それ以下の線量では他のリスクの影響が大きいため、放射線のリスクを評価することが困難です。それゆえ、低線量の被曝では明確にリスクがあるとはされていませんが、「被曝の影響があると仮定して被曝対策を行うことが望ましい」とされています。低線量の被ばくに関しては、今のところ様々な研究機関や団体が議論をしている状態で、明確な結論は出ていません。

致死的放射線量

「放射線の急性障害によって被曝してから2か月以内に半数が死亡する」とされる線量をLD50/60と呼びます。全く治療を行わなかった場合、LD50/60は3.5~4.0Gyとされていますが、可能な限り治療を行えば7.0~9.0Gy程度まで上昇すると考えられています。

放射線の急性症状

被ばく線量と被ばく部位に応じて症状は大きく異なります。
今回は全身に被曝した場合の被ばく量とその症状を紹介します。

<0.15Gy 特に症状は現れない
軽い吐き気・嘔吐が出るかもしれませんが、死亡する危険性は低い。

1~4Gy 吐き気・嘔吐
血球系にも影響が出ます。ここから死亡する可能性があります。

4~6Gy 早期から重度の吐き気、下痢
血液系にも大きく影響し、白血球や血小板が減少します。
被爆後8~14日で5割死亡する可能性があります。

6~15Gy 強烈な吐き気・嘔吐・下痢 強い血液系の障害
ほとんどの場合死亡します。

>50Gy 被爆後1時間程度で吐き気、錯乱などが発生し、心血管系・中枢神経系に影響が出ます。
死亡は不可避で、2日以内に死亡します。

放射線の急性障害で死亡する場合、被ばく線量の低い順に「骨髄がダメになり造血機能が障害されること」「消化管の上皮細胞が破壊され、腸内細菌が体内に移動すること」「中枢神経系の細胞が破壊されること」が挙げられます。

一度に全身に浴びると図のような結果になりますが、複数回かつ局所的に使用する場合はこの限りではありません。がんの放射線治療では局所的に複数回、合計で100Gy程度の放射線を受ける場合もありますが、これで死亡することはありません。医療で使用される放射線は、一度に、全身に被曝することが危険というわけです。

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