グレープフルーツジュースは飲んではいけないのか?1

解説

今回は、よく言われる「グレープフルーツジュースは飲んではいけないのか?」
について解説していこうと思います。

飲み合わせでよく言われるグレープフルーツジュースですが、
実際に一部の薬はグレープフルーツジュースとの飲み合わせがよくありません。

薬局で、「グレープフルーツジュースを飲んだりしませんか?」
と聞かれたことのある人もいるんじゃないでしょうか?
今回は実際にどういう事が起こるのかについて解説していきます。

動画版はこちら↓

グレープフルーツジュースと飲み合わせが悪い薬の例

免疫抑制薬である「シクロスポリン」や、高コレステロール血症の治療に使用する「アトルバスタチン」、降圧薬である「ニフェジピン」などが挙げられます。
これ以外にも相当数の薬に影響するため注意が必要です。詳しくはお近くの医師か薬剤師へお聞きください。

グレープフルーツジュースも何が問題なのか?

(ベルガモチン)フラノクマリン類の一例

グレープフルーツジュースには「フラノクマリン類」と呼ばれる物質が多く含まれていることが知られています。このフラノクマリンはフラン環とクマリンが縮環した物質で、その結合方法により様々な構造を取ります。

フラノクマリン類は毒性があり、植物が捕食者に対して抵抗するために持っているとされています。
これらは、消化管内で薬物代謝酵素である「CYP3A4」不可逆的に阻害してしまいます。
この相互作用によって薬との相互作用が引き起こされるのです。

薬の体内動態

薬は経口摂取した後食べ物と同じ経路をたどります。

錠剤が体内に取り込まれるときには、食べ物と同じ経路をたどります。食べ物と同じように口から入ってきた錠剤は、胃を通過し、大抵は小腸で吸収されます。
そして、小腸の上皮細胞にはCYP3A4が発現しており、入ってくる異物を代謝しています。それは薬も例外ではなく、通常はCYP3A4によってある程度代謝を受けています。小腸での代謝を逃れた薬は吸収されたのち、肝臓に運ばれます。そこで再度代謝酵素によって代謝を受けます。この肝臓での代謝を「初回通過効果」と呼びます。それも逃れた薬はようやく全身循環に移行し、薬物濃度が上昇することで薬効が発揮されるようになります。

相互作用の詳細

グレープフルーツジュースは先ほど触れた通り、
CYP3A4を不可逆的に阻害する作用」を持ちます。
このため、「グレープフルーツジュースは小腸での代謝を阻害する作用を持つ」ことになります。小腸での代謝が阻害されると、小腸で代謝を受ける分が代謝されないまま体内に入ることになるため、同じ量を服用しているにもかかわらず、吸収量が増加してしまうことになります。

薬の吸収量が増加すると、薬の血中濃度が高くなり、作用が強く出ることになるので、副作用が出やすくなります。特に注意が必要なのが、免疫抑制薬など用量に微調整が必要な薬です。

今回はここまでにして、次回その詳細について解説していきます。
ここまでお読みいただきありがとうございました。

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