どうも、kmです。今回はドクツルタケシリーズ2本目ということで、
なぜドクツルタケが毒になるのかを解説していきたいと思います。
動画版はこちら↓
ドクツルタケの毒成分
ドクツルタケの毒成分はアマトキシン類や
ファロトキシン類など様々含まれています。
このうち最も有名なものは「α-アマニチン」なので、
今回はこれについて詳しく解説することとします。
α-アマニチンのLD50
LD50についてはこちらを参照してください。
簡単に説明すると、
「特定の物質をどのくらい投与すると、投与対象の半分が死亡するか」
という量を示したものです。小さいほど毒性が強いといった感じです。
マウス(LD 50)0.3mg / kg
ヒト (LD 50)0.1 mg / kg
となっています。
LD50は非常に小さい部類で、毒キノコ御三家と言われるのも納得の数値です。
成熟した一本のキノコには10mg程度のα-アマニチンが含まれているようなので、1本摂取しただけでも死亡する恐れがあります。
ちなみにテトロドトキシンのLD50はこちらです。
マウス(LD 50静脈投与)8.7 μg/kg
(LD 50腹腔内投与)10 μg/kg
テトロドトキシンほどではありませんが、
α-アマニチンも相当に強力な部類であるということが分かります。
α-アマニチンの作用機序
α-アマニチンの作用機序は、
「RNAポリメラーゼⅡに結合し、
mRNAの合成反応を阻害する」
となります。
タンパク質合成の流れ
タンパク質は私たちの体を構成する重要な物質の一つです。
このタンパク質はこのような流れで構成されていて、
この流れをセントラルドグマと言います。
具体的な流れとしては、遺伝情報であるDNAに対して
転写という作業を行い、RNAを作り、
それを加工することでmRNAを作ります。
そのmRNAに対して翻訳と呼ばれる作業が
行われてようやくタンパク質が合成されます。
この流れのうち、α-アマニチンが作用する部分は「転写」です。
転写にはDNAからRNAを作り出す働きを持つ
RNAポリメラーゼと呼ばれるタンパク質が必要です。
RNAポリメラーゼには三種類あり、それぞれ働きが異なりますが、
これらのうちα-アマニチンはRNAポリメラーゼⅡに対して作用します。
α-アマニチンによって何が引き起こされるのか?
αアマニチンがどのように作用するかですが、
これはドクツルタケを摂食した際に体内でα-アマニチンが
どのようにして移動するかを追いながら解説します。
まず、α-アマニチンは腸管で吸収を受けて肝臓へ移行します。
そこで、肝臓に能動的に取り込まれ、
肝細胞のRNAポリメラーゼⅡを阻害します。
これによって、RNAの合成が阻害され、
その細胞でのタンパク質合成がストップします。
細胞では多種多様なタンパク質が合成されていて、
細胞の生存に欠かせないタンパク質も多くあります。
そのため、α-アマニチンに曝された細胞は
生存することが出来なくなります。
特に肝臓へ取り込まれるため、肝臓へのダメージが大きいです。
もちろん我々の体は細胞によって構成されているため、
細胞に対して毒となるα-アマニチンは我々にも毒になるというわけです。
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