どうも皆さんkmです。
今回は暑くなってきたということで
腸管出血性大腸菌による食中毒について解説していきたい思います。
動画版はこちら!↓
腸管出血性大腸菌とは?
大腸菌は動物の腸管内または自然界に広く存在する微生物です。
この大腸菌のうち一部の病原性を持つ大腸菌が病原性大腸菌で、
この病原性大腸菌の一部が腸管出血性大腸菌です。
これは腸管内でベロ毒素(VT:verocyto toxin)を作ることで
出血性の下痢を引き起こします。そのため腸管出血性大腸菌と呼ばれます。
もっとも有名であろうO-157は腸管出血性大腸菌の一部です。
他にはO26、O111、O121、O128などがあります。
これらの大腸菌の名前は菌の表面に存在する抗原と
べん毛の抗原によって区別されており、
O-157はO抗原を持つ157番目に発見された大腸菌という意味です。
今回は食中毒の最も発生頻度が高いO-157に絞って解説を行います。
O-157は1982年にアメリカで発生した集団食中毒で発見された大腸菌です。
国内では1990年の埼玉県の保育園での集団発生
(http://idsc.nih.go.jp/iasr/CD-ROM/records/13/15203.htm)
1996年堺市の小学校での大流行(https://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/01/dl/s0113-5e.pdf)
など社会問題にもなりました。
腸管出血性大腸菌による食中毒の概要
こちらは過去の食中毒発生件数の推移です。
実は腸管出血性大腸菌による食中毒はあまり多くないことが分かります。
こちらの画像は過去5年間の腸管出血性大腸菌による
食中毒の発生件数を示したものです。
8月に突出して多いことが分かります。
これは細菌の増殖に適した高温・多湿の条件が揃いやすいためです。
食中毒の症状
O-157による食中毒は図のような経過をたどります。
O-157は潜伏期間が長く、感染してすぐには発症しません。
成人では感染しても無症状のまま済む場合もありますが、
小児の場合はかなり高い確率で発症します。
症状としては強烈な腹痛から始まり、
その後数時間程度で水のような下痢が発現します。
その後みられる血便はほとんどが血液です。
一部の患者では重篤化し、死亡率が高く非常に危険な
溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症してしまうことがあります。
感染経路
O-157は菌が口から侵入することで感染します。
大腸菌は本来は動物の腸管内に存在しているわけですが、
糞便によって汚染された食品や水を摂取することで感染し
食中毒を引き起こします。
代表的な感染経路は、殺菌が不十分な食品、
食肉加工工場から排出された汚染水によって汚染された飲料水の飲食や
ハエなどの昆虫による媒介など様々あります。
予防方法
予防方法としては75℃で1分加熱することで腸管出血性大腸菌は死滅します。
また、調理に使用するものは熱湯や
次亜塩素酸などで消毒するとよいでしょう。
侵入を許さなければ発症しませんのでしっかり対策を行うことが重要です。
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